底地・借地権トラブルの解決
借地契約の期間満了による明け渡しに関するトラブルについて、借地借家法はいくつかの規制を設けています。
まず、前提として、借地借家法の適用を受けるには、同法にいう「借地権」(2条1号)に当たる必要があります。すなわち、建物所有目的の借地権でなければなりません。そのため、事業目的等の他の目的での借地の場合には、借地借家法の適用を受けず、民法によって処理されることになります。
そして、借地借家法の適用を受ける場合、契約期間は最短30年となります(3条)。そして、仮にこれより短い期間を契約で定めていても、効力を有しないことになります。
ここで、まず、契約期間が満了した場合に、借主側が契約の更新を請求してきた場合、これに遅滞なく異議を申し立てないと、契約が更新されてしまいます(5条1項)。同様に、契約期間満了後も借主側が土地の使用を継続している場合に、同様に遅滞なく異議を申し立てないと、契約が更新されてしまいます(同条2項)。
そして、この異議申し立ては、そもそも正当事由がないと認められません。すなわち、①貸主・借主がそれぞれどれくらい土地の使用を必要としているか、②借地に関する従前の経過(借主側が地代の滞納を過去にしたことはあるか等)、③土地の利用状況(借主側が土地に変更を加えていないか等)を基に、貸主の異議申し立てに正当事由があるか判断されます。
これに加え、④貸主が借主にいわゆる立退料を支払ったかどうか、その額も補充的に考慮されます。ここで注意が必要なのが、あくまで正当事由の有無を決める考慮事由は主に①~③なのであり、④はそれを補完するにすぎません。そのため、①~③で貸主側に正当事由が認められれば、④立退料を支払う必要はありません。
最後に、上記異議の申し立てが認められたとしても、借主としては、建物買取請求権を行使することができます(13条1項)。これは、借主が、土地上の建物を貸主に対して時価で買い取るよう請求することができる権利です。この権利はいわゆる形成権で、借主が権利行使すれば認められるものであるため、借主が権利行使した場合には、貸主はこれに応じなくてなりません。
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