遺言書の効力に関する基礎知識
遺言書の効力によって、遺言者が行えることは、基本的には、自身の財産を、誰に、どのように相続させるか、という点に集約されますが、以下、具体的な遺言書の効力について、主な効力である5つについて概説していきます。
①相続分の指定(民法902条)
遺言者は、遺言書によって、どの相続人が、いくら相続するのか、その相続分の指定を行うことができます。これは、相続人全員分について指定することもできますし、一部の者についてのみ、指定することもできます。なお、遺言書による相続分の指定がなされなかった場合には、法定相続分(900条)によって、各相続人の相続分が決まります。
②遺産分割方法の指定・遺産分割の禁止(908条)
遺言者は、遺言書によって、遺産分割方法の指定をすることができます。すなわち、具体的に言えば、相続人Aは、甲土地を、相続人Bは、乙土地を、相続人Cは、預貯金を、それぞれ相続する、などと、相続人らが、どのように遺産を分けるかについて、具体的に指定することができます。
また、遺言者は、遺言書によって、5年を超えない期間は、遺産の分割を禁止することもできます。
③遺贈(964条)
遺言者は、遺言書によって、遺贈をすることができます。遺贈とは、(基本的には)法定相続人以外の者に対して、遺言書によってする贈与のことです。
④推定相続人の廃除(893条)
遺言者は、遺言書によって、推定相続人、すなわち、遺言者が死亡した場合には、相続人となることが予定されている者を、廃除、すなわち、その者の相続権を剥奪することができます。もっとも、いかなる場合にも遺言による廃除が認められている訳ではなく、892条所定のような非違行為が推定相続人に認められるような場合でないと、廃除は認められません。
⑤遺言執行者の指定(1006条)
遺言者は、遺言書によって、遺言執行者を指定することができます。遺言執行者とは、「遺言の内容を実現するため、相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の行為を」する者のことで(1012条1項)、平たく言えば、相続財産の管理及び相続にかかる手続を行う者です。
以上が、遺言書の主な5つの効力ですが、遺言書は、法定の様式を守っているか、また、相続人の遺留分は侵害していないか、という点には注意が必要です。
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