B型肝炎給付金とは
B型肝炎訴訟判決(最判平成18年6月16日裁判時報1414号3頁)を受けて、国と原告らとの間で締結された基本合意書が作成され、これを踏まえて特定B型肝炎ウイルス感染者給付金等の支給に関する特定措置法(B肝特措法)が制定されるに至りました。こうして全国のB型肝炎患者に対して給付金が支給されることになります。
給付金の支給の対象となる方は、①7歳になるまでに、集団予防接種等(昭和23年7月1日から昭和63年1月27日までの間に限る)の際の注射器の連続使用により、B型肝炎ウイルスに感染した人と、②その人から母子感染した人、及び③これらの方々の相続人です。B型肝炎ウイルスの感染経路は血液に直接触れるか性交渉以外にないのですが、例えばB型肝炎ウイルスに感染している人の血液に直接触れ、感染した場合は国による給付金の対象外ということになります。
しかし、給付対象になるからといって直ちに給付金が支給されるわけではありません。
第一に、数字だけ見ると、B型肝炎給付金の対象者である確率は全体の3分の1だからです。現在の日本においてB型肝炎ウイルスの感染者が130万から150万人いると推定されており、その中でB型肝炎給付金の対象者が約45万人なので、B型肝炎ウイルス感染者全体の32%が給付金をもらえるということになります。逆に、残りの68%のB型肝炎ウイルス感染者は給付金をもらうことができないことを意味します。
第二に、現在の訴訟ではこれらを踏まえながらB型肝炎患者に対する給付金の支払いという方向で和解が進められています。逆にいうと、B型肝炎に関する給付金を受け取るためには国を相手として国家賠償請求訴訟を提起し、和解協議をする手続きを踏む必要があるということになります。いずれにせよ、裁判所での審理の中で給付されるか否かが決められます。
現時点では、支給される給付金は症状の軽重度により異なります。例えば、20年の除斥期間が経過した無症候キャリアに対しては50万円支給され、万線B型肝炎にかかった場合は1250万円、肝硬変・肝がんにかかった場合は3600万円それぞれ支給されます。
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